サステナブルファッション業界の動向

サスティナブルファッション

多様化するサステナブルファッションの取り組み

ファッション業界は、環境負荷の高い産業として知られていますが、近年では持続可能な製品開発や流通に向けた取り組みが加速。国内外の企業が、リサイクル素材の活用やリペアサービスの提供など、多様なアプローチでサステナブルファッションを推進しています。

国内では、ユニクロが使用済み衣料の回収・再資源化を進め、リサイクル素材を活用した製品ラインを展開。また、Patagoniaなどの海外ブランドでは、長期利用を前提とした製品設計やリペアサービスが一般化しつつあります。さらに、業界横断での連携も広がり、「ジャパンサステナブルファッションアライアンス(JSFA)」などの団体が、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた行動指針を掲げています。

百貨店やファッションビルでも、サステナブルをテーマにした企画展やPOPUPショップが開催されるようになり、消費者との接点を増やす取り組みも進められているため今後ますます一般化していくでしょう。

消費者意識と購買行動の変化

企業の取り組みに呼応するように、消費者の意識も変化。消費者庁が行った調査によると、若年層を中心にサステナブルファッションへの関心が高まっており、購入時に素材や製造背景を意識する層が増加傾向にあります。

また、新品にこだわらず、古着やレンタルを選択するスタイルも一般化しつつあり、服を「所有」するという価値観から「循環」させるという発想への転換も進んでいます。特にZ世代と呼ばれる若者世代では、SNSでの発信も含めて「持続可能な選択」をライフスタイルの一部として捉える傾向です。

一方で、持続可能性を重視しながらも、価格や利便性とのバランスを重視する傾向も根強く、購買行動とのギャップも見られます。店頭での説明不足や、商品情報の分かりにくさが選択を妨げているケースもあり、消費者教育の面でも課題が残ります。

課題と今後の展望

サステナブルファッションをめぐる取り組みは進んでいる一方で、いくつかの課題も浮き彫りになっています。まず、ファッション業界のサプライチェーンは複雑で、原料調達から製造・流通までの全体的な環境負荷を把握しにくい構造な点です。フェアトレードをしたくても、構造が不明瞭だと、まずはどの工程を見直すかから始めなくてはいけません。素材のトレーサビリティや工程ごとの排出量の可視化は、今後の重要な課題です。

また、製品のリサイクルにも技術的な制約があります。混紡素材や装飾の多い衣類は再資源化が難しく、多くが焼却・埋め立て処分に回っています。加えて、消費者の理解や行動変容が十分に進んでいない現状もあり、「関心はあるが実行には至らない」という意識と行動のギャップが業界全体の課題です。

これからのサステナブルファッションには、技術革新だけでなく、消費者との接点を工夫する新たな発信も求められるでしょう。行政・教育・流通の各分野が連携し、持続可能な消費文化の定着を図っていく必要があります。