増える一方撤退も多いサブスク
サブスクリプションが日本で普及し始めたのはごく最近のことですので、サブスクというのは新しいサービスなと思い込んでいる方もいらっしゃるかもしれません。
実際にはサブスクリプションの歴史は意外に古く、17世紀のドイツで百科事典を発行している出版社がユーザーから前もってお金を集め、分冊の形式にして百科事典を配布したものがサブスクの発祥と言われています。
サブスクの大きな特徴は、前もって顧客の数をある程度把握した上で製品やサービスの製作に取り掛かることができるため、せっかく発売したのに全然売れないというリスクを避けられることにあります。
サブスクという概念は新しいようなイメージを受けますが、雑誌や新聞なの定期購読、あるいは保険料金や電気などの公共料金を定期的に支払うのも広義のサブスクリプションとみなされます。
日本では「サブスク」という名称で2018年前後から様々なサービスに登録する人が急増していますが、増える一方で登録を撤退する人も多いのがサブスクリプションの特徴です。
失敗したサブスクの特徴
世界中でサブスクリプションサービスが急増するきっかけともなったSpotifyも、定額の聴き放題サービスとして有名です。
2008年から開始されたSpotifyのサブスクサービスは、4,000万曲以上の音楽が聴き放題になるだけではなく、大半の機能を無料会員でも利用できる点が魅力です。
サブスクというとメリットばかりが強調されがちですが、実際には失敗するサブスクも多数存在しています。
消費者離れや所有欲離れなどの意識の変化を大切にしているサブスクとはいえ、サブスク事業の91%は失敗しているというシビアな現実も見逃すことはできません。
2021年1月13日から19日にかけて日本全国一般企業従事者のうち、事業化されたサブスク事業に携わった経験者828名を対象に行われた調査では、最重要KPIの達成率が100%に満たないケースが全体の91%にも上るという回答が得られています。
KPIというのは「key performance indicators」の略で、日本語では「重要業績評価指標」と訳されています。
サブスクが失敗する要因として、最も大きいのは顧客満足度を最優先にしてしまうことが挙げられます。
顧客満足度ではなくて、利益を追求していかないとサブスクを長続きさせることはできません。
また、継続的なサービス改善がなければサブスク事業は失敗しますので、複数のプランを用意できるどうかが成否の分かれ道となります。
もうひとつ、データの取得を主目的とするサブスク事業も失敗する確率が高いので注意しましょう。
取得データの活用よりも、解約抑止やサービス改善に努めることが重要です。