ショッピングセンター業界の特徴
ショッピングセンター業界はすでに長い間時代の変化に晒されて、激動の状況にあると言われてきました。
業界全体の構造改革が求められている面もあり、今後どのように市場が変化していくかにも注目が集まっています。
ショッピングセンターの特徴としてまず挙げられるのが、「大型化の進行」でしょう。
イオンモールに代表されるように、さまざまな店舗が入った大型のショッピングセンターを運営するケーが増えており、とくに地方ではこうしたショッピングセンターの大型化が地域の経済や消費動向にも大きな影響を及ぼしています。
住民にしてみれば「そのショッピングセンターに行けば何でも買える」のは非常に便利ですし、流通業界からしてもこうした大型店は「よいお客さま」と言えます。
一方で、こうしたショッピングセンターの大型化が地域経済を停滞へと導くとの意見も、すでに10年以上前から問題視されています。
消費者が大型店ばかりを利用するようになることで、個人経営などの零細な店舗の経営が立ち行かなくなる問題が生じているのです。
そのため、地域によっては大型のショッピングセンターの出店に反対する声があがったり、自治体のトップが反対意見を表明するといったケースも出てきています。
このように「なんでも入手できる」と、それゆえに地域経済を圧迫する恐れがあるという2つの相反する面を抱えているのが、現在のショッピングセンター業界の際立った特徴となっているのです。
ショッピングセンター業界の現状と今後の動向
こうした地域経済との微妙な距離感もこの業界の現状を伝えるものですが、業界全体で市場規模が横ばい状態になっている面もあります。
例えば2021~2022年のショッピングセンター業界の市場規模のデータでは成長率がマイナス3.4パーセントで、利益率こそアップしているものの、市場の縮小傾向が見られています。
このデータはコロナ禍のものなので評価には注意が必要な面もありますが、どれだけ今後市場が拡大していくのかについては黄色信号が出ているような状況です。
この背景には、コロナ禍の影響でEC販売をはじめとした通信販売の市場規模が急上昇した影響も見られます。
EC市場に関しては今後も拡大傾向が予想されており、それがショッピングセンター業界にも少なからぬ影響を及ぼすことも考えられます。
また全国各地で大型のショッピングセンターがオープンしたことで、大型店への需要が一段落しかけている面も今後の動向に影響を及ぼしそうです。
一方で、コロナ後の観光業の急回復に合わせて観光地での大型ショッピングセンターの業績回復が期待できるため、今後数年は先が見通させないような状況になる可能性もあります。
多少長い目で業界全体の推移を見守っていく必要がありそうです。