アナログと思われがちな印刷業界
印刷業界は歴史がある業界で、私たちの暮らしにも密着しています。
日常よく目にする、本やスーパーの安売りのチラシなどを作っているからです。
昔からあるというイメージが強いので、アナログ的に思われますが、最近の業界はそうでもないです。
IT化やデジタル化が進み、新たな分野を開拓していっています。
その背景には、紙媒体の印刷物が少なくなってきたことがあるからです。
DTPという技術がはびこっている現代
DTPとは、「デスク・トップ・パブリッシング」という技術のことです。
パソコン画面で見えるレイアウトをそのまま印刷します。
この技術は、今や個人宅でもできる平凡な技術でしょう。
大体の家には、印刷機があるものです。
とはいうものの、この技術が普及したのは、たかだか20年になります。
普及前は手作業の印刷だったので、そのあたりが「アナログ」と思われる所以でしょう。
凹凸が掘られた凸印刷版と言われる版に、インクで印刷するという方法で、まずでハンコのようでした。
その後は凹凸なしの「平版印刷」」という技術にとってかわり、その後にDTPとなったのです。
事業が多角化している印刷業界
最近は事業が多角化して生き延びている業界です。
営業や企画で業務を受注し、制作はDTPオペレーションによるチェックになります。
そして、デザインを校正した上で印刷機に使う版を作る製版という仕事があるのです。
さらに、版を印刷し、製本や加工を行うという過程で印刷が行われます。
専門技術がなくてもできる仕事もありますが、専門的知識や技術が必要なところもあります。
コンピューターなども使うので、アナログとデジタルが一緒になった業界です。
大手の会社も2社ほどありますが、ほとんどが中小企業になります。
現状は厳しい状況
印刷業界の現状は、なかなか厳しいです。
1990年代に合った売り上げよりも、かなり落ち込んでいます。
具体的な数字で示すと、過去に9兆円近くあった売り上げが5兆4000億円ほどになってしまったということです。
IT化やデジタル化といった時代の波のためでしょう。
ビジネスフォームに力を入れている
多くの印刷会社が力を入れている事業をご紹介しましょう。
「ビジネスフォーム」という宛名の印刷やデータ入力のみでなく、書類を発送したり、顧客のデータを管理したりする仕事です。
その他には、マイナンバーを管理する、ICカードを発行するという、今までは考えられなかったような業務にも携わっています。
それだけではなく、インスタント食品のパッケージなど、紙媒体とは違う印刷の業務もあり、今後の展開が期待されているのです。
業界の中で、大きな2つの会社は業績を保っていますが、中小企業にとっては、なかなか厳しい現状です。
それでも、ビジネスファームなどの展開で回復の兆しも見えてきています。
今後に期待しましょう。