10月から規制されるステルスマーケティング

ステルスマーケティングとはどんなもの?

ステルスマーケティング、略して「ステマ」は、以前から問題になっていたマーケティング手法です。
ステルスとはもともと英語の「Stealth」のことで、「こっそり行う」「隠密」といった意味持つ言葉です。
レーダーなどにかからずに移動できる兵器に対してよく使われますが、これをマーケティング用語として採用したのがこのステルスマーケティングです。
簡単に言えば、「広告だとわからない形で隠密に、こっそりと行うマーケティング」のことです。

通常の広告では、はっきりと広告だとわかる形で商品やサービスの紹介が行われます。
ところがステルスマーケティングの場合、広告だとわからない形で紹介が行われ、見た人が広告だとわからないままその商品・サービスについての印象を持つ可能性が高くなります。
例えばある有名人がSNSで「こんな製品買った、とってもいいよ、おすすめ!」などと特定の商品を推奨するような投稿をした場合、それが抜群の広告効果を発揮することがあります。
これが本人が自発的に投稿したものならよいのですが、じつはその製品の製造メーカーから依頼を受けたもので、いかにも自発的な投稿のように見せかけて投稿した場合、それはステルスマーケティングとなります。

かつて広告と言えば、新聞広告やチラシ、テレビCMなど、誰でも「これは広告だ」と分かる形で行われていました。
しかしネットが普及し、ブログやSNSが重要なマーケティング手段として有効な手段として活用されるようになったことで、「どれが投稿・記事でどれがCMなのかわからない」面も出てきました。
とくにSNSでは「インフルエンサー」と呼ばれる人たちが活動しており、彼らの投稿・活動が市場に大きな影響を及ぼすケースが増えています。
企業の中にはそんなインフルエンサーの影響力に目をつけてステルスマーケティングを仕掛けようとするところもあり、またインフルエンサーの中にはそうした企業の思惑に「乗っかる」人もいるのです。

このステルスマーケティングは公平性などの面で大きな問題があるため、以前から規制の必要性が指摘されていました。
2023年10月、ついに本格的な規制が行われることになったのです。

ステルスマーケティング規制の内容

この10月1日からの規制では、企業の広告において必ず「広告」「PR」「プロモーション」といった表示を行うことが義務付けられます。
例えばSNSで商品を紹介する場合には、「#広告」「#PR」といった表示が必要になります。
広告と接する側は、こうした表示によってすぐに「これは宣伝なんだな」と判断することができるわけです。
これによって企業のマーケティング手法にも大きな変化が生じることが予想されており、とくにSNSでのマーケティングがどのように変化するのか注目したいところです。