先物取引商法の内容
悪徳商法には「マルチ商法(連鎖販売取引)」や「送りつけ商法」「催眠商法」などさまざまな種類があり、中でも特に引っかかりやすいのが先物取引商法です。
先物取引というのは金・銀、プラチナはもとより、大豆や砂糖などのいろいろな商品を定めた時期に売買する取引のことです。
例えば砂糖を50万円で購入し、3ヶ月後に砂糖の相場が60万円になれば、その時点で売って10万円の利益を出すことができます。
先物取引では必ず得をするというわけではなく、砂糖の相場が40万円に下がってしまった場合には10万円を損することになります。
先物取引を行う際には先物取引業者が仲介に入り、「商品先物取引委託契約」の下に顧客と商品取引所の取り次ぎを行います。
先物取引自体は違法であるわけではなく、先物取引業者が普通に取り次ぎを行っている限りは悪徳商法とは決めつけられません。
悪質な先物取引商法の手口
ところが悪質な先物取引業者になると、顧客が預けたお金をすべて手数料として吸い取ってしまいます。
先物取引をよく把握していない顧客を見つけると、悪質な先物取引業者は「今だったら絶対に儲かる」「チャンスを逃さないように」と顧客をあおり、多額の預託金を出すように迫ります。
一旦預託金を手にすると、悪質業者は先物取引の売買を頻繁に顧客に勧め、手数料をできるだけ多く稼ごうとします。
取引で利益が出てもそれを顧客に還元せず、さらに取引額を増やすようにうまく勧誘します。
顧客が途中で「先物取引を止めたい」と言っても相手にせず、「今やめたらこれだけ損する」などと説明して、ずるずるとお金を引き出し続けます。
悪質な先物取引商法では「向い玉」といって顧客とは全く逆の取引を行なって、顧客に損をさせ、その分を全て自分の利益として得る業者もありますので注意が必要です。
悪質な先物取引業者に対してはどのようなリアクションすればいいの?
明らかに悪質な先物取引業者に対しては、損害賠償を請求することも可能です。
向い玉のように、明らかに顧客に損をさせて利益を得ているようなケースは不法行為です。
とはいえ、先物取引業者の手口は巧妙に仕組まれていますので、裁判で立証するのが難しいこともしばしばです。
最も重要なのは、悪質な業者に引っかからないように自衛することです。
勧誘があまりにしつこい場合や、うますぎる儲け話を持ちかけられたときには、冷静に判断することが大切です。
また、先物取引の内容がよくわからないのに手を出すのは絶対にやめましょう。
消費者契約法では、業者による消費者への情報提供が不適切で、消費者に誤認を生じさせたような場合、過去にさかのぼって事実を認めることができる時点から6ヶ月以内であれば契約を取り消すことができると定めています。